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「路地裏の民主主義」 平川克美


本書を読んで、何かまとまりのない内容で、何について書かれた本なんだろうと思った。いろいろな場所に発表した文章を後から加筆してまとめたものらしいのだが初出が書かれていない。最初の章は民主主義というか政治的なことがらを取り上げている。途中から書評と映画評になったり、街歩きの話になったり、そして介護の話になり、最後はオリンピックの話だった。内容の重複もあり、様々な話題が有機的に結びついてると思えなかった。せめて政治・経済関連の文章だけでまとめてたほうが「スッキリ」したのでは。

文章の中に別の著書などの引用が挟まって、である調がですます調に変わり、また戻るということがたびたびある。韓国版「小商いのすすめ」の前書きを引用している箇所では一行空いているだけで、引用の形になっておらず、ここでの「本書」は「小商いのすすめ」だよなと一瞬勘違いしそうになった。アマゾンのレビューで「本書」を「路地裏の民主主義」と思っているひとがいた。

管理人にとって街の話が一番面白かった。管理人も以前新丸子に住んでいて、「シン・ゴジラ」を見て「丸子橋は戦車の重さに耐えられるのか」と「昔住んでいたアパートが壊された」とつい口にでてしまった。写真を撮りに多摩川河口付近の街も何度も訪れたし、鶴見線沿線も歩き回った。渋谷の「ライオン」の話も懐かしかった。

民主主義というものが、ヨーロッパに端を発したのは、彼の地では、民族も、思想信条も、宗教も、生活も異なる人々が同じ地域で、争わずになんとか共存していくための知恵が必要だったからだろう。王権が支配していた時代の、血みどろの争いや、差別や、敵対による暴力の歴史の中から、自分とは違う人間と、なんとかかんとか妥協しながらやっていく方法が、民主主義というものではなかったと、あらためて思う。
最後にもう一度確認しておきたいのは、民主主義はわたしたちが集団で生きていくうえでの、最良、最善のシステムではないということだ。手間のかかる、決断の遅い、誰もが少し妥協や我慢をしなくてはならないシステムである。
ただ、誰かが満足するという理由のために、最悪な結果がもたらせることを避けるために、多くの失敗の中から考え出された、とりあえず、リスクを最小化できるシステムに過ぎない。それは多くの欠点を持ったシステムであり、理性と知性が絶えず補完しなければ、いつでも最悪の結果を生むことを避けられないものであることだ。