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「除染と国家」 日野行介


福島第一原子力発電所の事故後、民主党から自民党に政権が交代しても、原発事故対策は大きな変更もなくほぼ前政権の政策を踏襲した。事故後の混乱の中で決定された除染対策も大量の汚染土がフレコンバックに詰められ残されている。放射性物質を含んだ土を何処へ移動できても、放射性物質をなくすには時間がかかり、「除染」の効果はどれだけあるのか評価が難しい。本書は毎日新聞の記者が「除染」について取材し書いたルポ。著者は特別報道グループの記者として、5年間「福島原発事故」を取材した。現在、著者は毎日新聞水戸支局次長。現役記者からデスクに異動したため、「福島原発事故」関連の著作は本書が最後ということだ。

本書の最初のほうに、除染した後敷地内に汚染土をフレコンバックに詰め埋めた土地に家を建てたひとの取材がある。市からの資料に基づいて家を建てたら、家の下に埋めたフレコンバックがあるのがわかった。購入したひとは、フレコンバックが埋まっている土地は価格が安いので買ったという話だ。それにしても、フレコンバックが埋まっているのがわかっているなら、事前にどこにあるのか実地調査をしないのだろうか。余所者からすると、フレコンバックが埋まっている土地は買わないと思うけど。建築業者も何も調べずに家を建てたというのも不思議な感じがする。結局、土地を購入したひとは市が一向に責任を認めず事態が硬直した為、市によるフレコンバック撤去を認めた。

国は福島県に残されている大量の汚染廃棄物を再利用することで、その絶対量を減らそうと計画している。汚染廃棄物を道路や防潮堤に再利用しても、その管理は100年以上続けなければならない。中間貯蔵施設は30年を区切りにしているが、その後廃棄物や土地をどうするかははっきりしない。福島原発事故で出た汚染廃棄物を他県で再利用することは難しい。汚染廃棄物を受け入れたくないというのが福島県以外の自治体の本音だろう。除染した汚染土が福島県内を移動するだけになってしまう可能性が高い。政策決定のプロセスが不透明で、情報公開される文書も改竄されたり、削除されているとなると普通の人はどのように知ることが出来るのか。中間貯蔵施設における30年とか8000ベクレルとかの数値はどのような意味をもつのかわからない。